2017/09/30

ウインカースイッチの分解修理

バイクのウインカーキャンセルスイッチの「クリック感」が無くなってしまいました。
・・・と言っても、BMWのちょっと特殊なウインカースイッチをご存知ない人には意味不明でしょうから、まずその説明から。(^^;

私の R1200GS (2008年型)に限らず、BMWバイクでは長年にわたり独特なウインカーのスイッチ配置が採用されていました。 (数年前の新型車以降は国産車と同じ配置になっています)

左ウインカーは左手側のプッシュスイッチを押し、右ウインカーは右手側のスイッチを押します。そして、ウインカーを消すには右手側にあるキャンセルボタンを押す、という方式です。

左右のウインカーボタンもキャンセルボタンも親指で押した時に軽い手応え(クリック感)を感じられるようになっているのですが、、、
先日運転している途中で、ウインカーキャンセルスイッチの「クリック感」が無くなってしまったことに気付きました。

ウインカーを消す機能的には問題無いのですが、手応えが無いと消せたかどうか分からないし、何よりもとても気持ち悪いので、ちょっと見てみることにしました。

BMW R1200GS (2008年)の右側コンビネーションスイッチはこうなっています。
上から、セル(スターター)&キルスイッチ、グリップヒーター、ウインカーキャンセル、右ウインカースイッチです。
 

右矢印のボタンを押すと右ウインカーが作動します。
(左手側にある左ウインカーのボタンと同時に押すとハザードになります)
ウインカーやハザードを停止させるのが、このキャンセルボタンです。
クリック感が無くなってしまっていますが、もちろん外観上は特に異常は見当たりません。
コンビネーションスイッチをバイクから取り外してみます。
バックミラーとブレーキレバーをハンドルバーに固定しているボルトを緩めて少しずらしてあげて、コンビネーションスイッチのカバーを外します。
カバーの固定ビスのサイズは、トルクスの T10です。
車体側とつながっているコネクタを外した上で、ハンドルバーとの固定ビス2本(サイズはT10)を外せば、コンビネーションスイッチがごっそり取れます。
取り外した、右コンビネーションスイッチ
 予想はしていましたが、肝心のウインカーキャンセルスイッチの内部の様子を見るためには、このユニットそのものを分解する必要があることが分かりました。
一旦、元通りにバイクに付け直し、現状のままで我慢しようかとも考えたのですが、、、やっぱりクリック感が無いのは気になります。。。

内部構造が分からないままに分解し、いじくり壊して被害が拡大することが一番怖いので、Facebook上にある BMWバイクのグループで「コンビネーションスイッチの分解経験や内部構造をご存知の方はいますか?」と尋ねてみたところ、短時間にヒントになる情報を複数頂くことができたので、本格的に分解してみることにしました。

その前に、このコンビネーションスイッチを丸ごと交換することになった場合の価格を調べてみたところ、部品代だけで35,000円ほどと判明しました。
・・・この金額を意識しながら、分解修理にチャレンジすることにします。


さて、このコンビネーションスイッチのユニットを分解するには、T7という小さなサイズのトルクスレンチ(ドライバー)が必要になります。
T10以下のものは持っていなかったので、これを機に購入しました。

T2という極小サイズ~T20の11本セットです。
「いじり止め」トルクスにも対応しているので、欧州車のメンテだけでなく、パソコンなどをいじる時にも重宝しそうです。 (^^;

まずはカバーを分離させて、
ボタン(ノブ?)部分を外すとスイッチ本体が見えてきました。
内部的には同じ形状の小型プッシュスイッチが並んでいます。 直径12mmほどの丸型です。

この状態でスイッチを押してみると、ウインカーキャンセルスイッチにはやはりクリック感が無く、ウインカースイッチにはちゃんとあるので、問題はこのスイッチ内部に起因するようです。

一般的に、クリック感のある小型スイッチは、タクトスイッチ(=タクタイル/タクティル/Tactile)と呼ばれます。

世の中には文字通り無数の種類のタクトスイッチがありますので、スイッチ自体が壊れて修理不能ならば、寸法などが似通った市販品を流用することも考えながら、不具合が生じているスイッチを慎重に分解してみました。

スイッチ本体を分解した途端、内部からバネが飛び出して来ましたが、(少なくともこの時点では)特におかしな部分は見当たりません。
黒いリング状の部品は薄いゴム製の防水防塵カバーですが劣化や破れなどは無く、そのお蔭でスイッチ内部は、中央に見える金属接点の状態も含めてとてもキレイです。

不具合の原因として、内部に小さなゴミや部品の破片のようなものが入り込んでいることも想定のひとつだったのですが、文字通り、チリひとつ入っていませんでした。
スイッチ内部中央の金属接点は2枚のリード(弁)状になっていて、分解状態では接触(導通)しています。
組み立てられた状態では白い樹脂部品(プランジャーと呼んでおきます)の中央内部に見える小さな「横棒」部分がスイッチ内部で接触している2枚の金属接点の間に分け入って切り離す位置になり(通常時OFF)、その位置から押し込まれると「横棒」が接点の間を通過してしまうために接点同士が接触する(プッシュでON)、というしくみです。
・・・文字で書いてもサッパリ意味不明かもしれませんが。(^^;
問題は、「クリック感」が本来はどのように生み出され、なぜ無くなっているのか、です。 
この時点では、白い樹脂部品の外周にある小さな突起(爪)が摩耗や変形していることを想定し、拡大鏡(ルーペ)を使って細かく観察したのですが、、、どうもそういう事では無さそうです。

いろいろ考えたのですが答えが分からなかったので、隣の(正常にクリック感のある)スイッチも分解して違いを比べてみることにしました。
これは、「右ウインカースイッチ」に相当します。

正常品を分解したら、答えはすぐに分かりました。
正常品(左)のように、本来はバネが少し縮んだ状態で筒状パーツ(プランジャー)に嵌っていなければならないところ、不具合状態(右)ではバネが外れて伸びきって組み付けられていたのです。
バネの端っこが折れかかっていたので外れたようです。 折れかかっていたところを除去して、というかピンセットとラジオペンチでいじっていたら完全に折れてしまったので取り除き、生き残ったバネを力づくで曲げて、正常品と同じように装着してあげました。
正しくバネを装着したプランジャーをスイッチ内部にはめ込んであげると、この位置が通常状態になります。
プランジャー内の「横棒」が金属接点の間に分け入って絶縁(オフ)した状態です。
スイッチが押されてプランジャーの「横棒」が金属接点の「バネっけ」を乗り越えて通過する時にクリック感が得られ、プランジャー周囲に付け直したバネの力で押し込まれた状態から通常状態に戻るメカニズムになっていました。

・・・このブログ記事は、自分自身の備忘録の意味だけでなく、同じような問題に遭遇したどこかの誰かの役に立てるかも、、、という期待を込めて書いているわけですが、、、ここまでの写真と文字情報だけで、果たして自分以外の人に、このスイッチの構造が通じているかなぁ。(^^;;;
ホントは図でも描けば分かり易いのでしょうけれどね。

何はともあれ、問題のタクトスイッチにクリック感が蘇りましたので、コンビネーションスイッチとして組み直します。

組み立て前の集合写真。(^^;

もう2度と分解しないで済むのか、それともまたすぐに同じような作業をやるハメになるのか分かりませんが、せっかくなのでキレイに掃除しておきましょう。

スイッチ本体のゴム製の防水ブーツ部分は、直接紫外線や水分油分に晒されるわけではありませんが、劣化して裂けたりしないように、シリコングリスとかを塗っておこうかと考えました。
でも、グリスだとかえって塵や埃が付きそうだし、コンビネーションスイッチの全体的がほぼ丸ごと樹脂製ですからシリコン系の保護剤で磨いてヨシとします。(^^;
おかけで、ずいぶんピカピカになりました。

強いこだわりがあるわけではないので、シリコン系の保護剤ならば「アーマオール」でも何でも良いのですが、現在は「ポリメイト」を愛用しています。
・・・一度買ったらなかなか無くならないから、ひとつの商品を愛用することになっちゃうだけです。(^^;

組立完了!
この後、バイクに付け直し、ウインカーキャンセルスイッチの「クリック感」が見事に復活しました!!

コンビネーションスイッチの丸ごと交換ならば部品代だけで 35,000円かかるところ、小さなトルクスレンチセットの購入と、少量のポリメイトの消費で済ませることができて大満足です。

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【2019/7/18 追加写真】










2017/09/11

ドライブレコーダー DRY-FH200 リコール

ニュースを見ていたら、何だか見覚えのある製品リコールの話題。
購入当初はバイク(アフリカツイン)用として使い、現在はクルマにおさがりして使っている、ユピテル製のドライブレコーダです。。。


ドライブレコーダー内蔵の電池から出火か リコール届け出




関西地方などで、おととしからことしにかけて、止めてあった車が焼ける火事が相次ぎ、このうちことし5月に兵庫県と神奈川県で起きた火事2件について、車内のドライブレコーダーに内蔵されたリチウムイオン電池から出火した可能性の高いことが消防などへの取材でわかりました。いずれも東京の無線機器メーカーの同じ機種で、メーカーは製品のリコールを届け出て、4日から交換などを受け付けることにしています。
リコールの対象となるのは東京の無線機器メーカー「ユピテル」のドライブレコーダー、「DRYーFH200」で、平成24年から25年にかけて販売されました。

各地の消防やメーカーなどによりますと、この製品から出火したことで車が焼けたと見られる火事が大阪府や兵庫県、それに神奈川県で合わせて4件確認されているということです。

けがをした人はいませんが、それぞれの火事について消防などが詳しく調査した結果、このうちことし5月に起きた兵庫と神奈川の2台については、ドライブレコーダーに内蔵された「リチウムイオン電池」から出火した可能性の高いことがわかったということです。

メーカーによりますと、製品はすでに9万台が販売されましたが、電池が「膨張する」とか「熱くなる」といった苦情や相談が100件以上寄せられているということです。
メーカーは詳しい原因は調査中としていますが、利用者の安全を確保するため、経済産業省にリコールを届け出て、4日から回収と交換を受け付けることにしています。
(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170904/k10011125621000.html)

早速調べたところ、自分のものには特に膨張や加熱などの異常はありませんでしたが、、、現行の同クラス性能の製品に交換してくれるそうなので早速手続き完了。

発行された受付番号から見て200人目くらいなんだけど、経済産業省の公示によれば対象台数は85,000台だそうな。。。 http://www.meti.go.jp/.../09/20170904001/20170904001.html



数日後、荷物が届きました。
面白いのは、外箱の構造。 箱の右半分に何やら説明書きがありまして、、、
開くとこんな構造になっていて、簡単に返送できるようなしくみです。
中身は、詫び状と交換品の新しいドライブレコーダー。
交換品は、DRY-ST1000C という機種です。
新旧を並べるとこんな感じ。 だいぶ小さくなっています。

代替品として届いた「DRY-ST1000C」というモデルについて、メーカーのWebで調べてみると、どうやら現時点では今回のリコール専用品のようです。 
最近の売れ筋にはGPSが内臓されているのですが、残念ながらこの代替品にGPSは付いていません。 

Amazonのユピテル製ドライブレコーダー


代替品として届いた DRY-ST1000cは、2017年8月から発売開始された、DRY-ST2000cという製品からGPSだけを取り除いたモデルです。



せっかくなので、問題のDRY-FH200を軽く分解してみることに。
前面パネルを外してみたら、その裏側に、、、
今回のリコールの原因になった、リチウムイオン電池(Li-ion電池)が付いていました。
膨張も変形もまったく無いので、この製品はまったく問題無いと思いますが、
返送用の箱には「航空機搭載不可」「陸・海上輸送」「冷蔵」の指示。
冗談でなく、送り状でも「クール宅急便(冷蔵)」が明確に指定されています。\(◎o◎)/!

届いた代替品にはバッテリが内臓されておらず、クルマのエンジン停止(正確にはACCがオフ)になったらすぐに録画が停止してしまうところがチト気に入らないんだけど、小型になったし画質もかなり向上しているので、まぁ、ラッキーなリコールだったというのが率直な感想です。 
GPS付き、あるいは、オプションで簡単に追加できる仕様だったらもっと有り難かったんだけど。(^^;